既読はついている。
でも、返事は来ない。

ほんの数日前には「会いたい」と言ってくれたのに、今夜はスマホの画面だけが静かに光っている。

夜の恋ノート編集室

恋ノート編集室の窓には、夜の街の明かりがぼんやり映っていた。駅前の通りから少し外れたこの場所は、昼間は小さなノートカフェとして開いている。夕方を過ぎると、テーブルの上には恋愛相談のメモや、誰かが書きかけたノート、色とりどりの付箋が並びはじめる。

ミオは、木の机に両肘をついて、もう何度目かわからないくらいスマホを見た。

「今日はありがとう。楽しかった」
「俺も。また会いたい」

でも、そのあと送ったミオのメッセージには、既読がついたまま返事がない。

「……忙しいだけ、だよね」

胸の奥に引っかかっているものは、返信の遅さだけではなかった。会う日はいつも急に決まる。こちらから次の予定を聞くと、はぐらかされる。優しい時は本当に優しいのに、自分だけが待っているような気持ちになる。

またスマホ見てる

「ミオ、まだ残ってたの?」

入ってきたのはサヤだった。ミオは慌ててスマホをノートの下に隠した。

「ふーん。既読画面を眺める作業?」

サヤは向かいの椅子に座り、温かい飲み物をミオの前に置いた。

「返事が遅い人はいるよ。忙しい人もいる。でも、毎回ミオだけが不安になって、毎回ミオだけが理由を探してるなら、それはちょっと苦しいよ」

その言葉が、胸の奥にそのまま落ちた。

忙しいことと、向き合わないこと

奥の本棚のほうから、レンが顔を出した。

「返信が遅いだけで全部を決めつけるのは、少し早いかもしれない。仕事が詰まっていたり、返事を考えすぎたり、本当に余裕がない時もあるから」

ミオは少しだけ顔を上げた。

「既読がついて返事がないだけなら、それだけで脈なしとは言えないと思う。でも、忙しいこと自体は本当かもしれない。でも、相手を不安にさせ続けていい理由にはならないと思う」

ミオは、ノートを開いた。

返事が遅いこと。
それだけが苦しいわけじゃない。

赤い付箋と青い線

ツバキが、いつの間にか編集室に戻ってきていた。

「赤い付箋は、相手を悪者にするためのものじゃないから。これは、あなたの心が苦しいと感じた場所に貼るもの」

カナタがノートの中央に一本の青い線を引いた。

自分の中から出てくる不安
相手の行動によって積み重なる不安

その時、ミオのスマホが光った。

「ごめん、寝てた」
「今日の夜、会える?」

会える。連絡が来た。やっぱり嫌われていなかった。けれど、別の気持ちも顔を出した。今日の夜。また急に。また、私の予定は聞かれない。

ミオは、ゆっくり返信を打った。

「今日はもう予定があるから、別の日にしよう。次に会える日をちゃんと決めたいな」

送信ボタンを押したあと、心臓がどきどきした。それでも、さっきより少し息がしやすかった。

恋ノートに残す一文

好きな人を待つ前に、
自分の気持ちを置き去りにしていないか見てみよう。

ミオのスマホは、まだ返事を知らせていない。けれど今夜のミオは、画面だけを見つめ続けなかった。

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編集方針と相談先

恋愛の不安を煽って断定するのではなく、相手の行動・自分の気持ち・安全面を分けて整理する方針で編集しています。

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